最新記事やキャンペーンなどの
お得な情報をいち早くお届け!

ユカヌバタイムス

23

Jan

ACTIVE DOG

失敗も成功も共に味わい、この先の人生を紡ぐ。
7人と7頭が始める新たなくらし。
〜盲導犬新ユニット出発式〜

視覚に障害を持つ方の歩行補助パートナーとして生活に寄り添う盲導犬。『ユカヌバタイムス』では、様々な角度でフォーカスをしていますが、今回は新たに盲導犬との生活を始める7組のユニットと、その門出を祝う知られざる「盲導犬新ユニット出発式」にフォーカスします。

「盲導犬新ユニット出発式」とは、神奈川訓練センターでの共同訓練(パートナーとなる盲導犬と泊りがけで生活する訓練)を終え日常生活を共にする新ユニットの方々の新生活一年目をお祝いする式典です。

約一年間をともに生活した盲導犬と今まで出かけたことのない場所へ出かけ、無事に到着することで新たな自信を身につけ、これからの生活をより豊かなものにしていこうという目的を持つ出発式。まずは、新たなくらしをはじめた7人と7頭の新ユニットの今とこれからについてお話を聞かせてもらいました。

荒川香織さん/カラ(東京都練馬区)

去年の7月よりカラと一緒に生活を始めた荒川静香さんは、新ユニットを代表して記念品授与された荒川さんが旦那さんであり、ご夫婦で盲導犬ユーザーです。
「私は現在、主人と息子、両親とカラと大家族で生活をしています。カラと一緒に歩いて1年が経ちますが、日々盲導犬と一緒に生活してよかったなと思うことがいっぱいあります。私は弱視で視力も0.1くらいあるのですが、盲導犬を持つかどうか迷っていた時期がありました。盲導犬を持つ前は息子に対して“目の見えない両親に育てられているかわいそうな子と思われたくないな”なんて思っていたんですけど、盲導犬と生活してみてそんな心配は無用だったことを知りました。息子の幼稚園では私とカラ、主人とグミに視覚障害についてお話をさせていただく機会を設けてもらったり、私たちが幼稚園へ行くと園長先生をはじめ、その他の方々もすごく歓迎してくださいます。息子も今では幼稚園の有名人です。そんな私たちはこれからもいろんなところへ出かけたり、いろんなことをしたいと思っています」

柴田みゆきさん/マーニー(東京都江東区)

普段からお出かけ好きだという柴田さんは、マーニーと一緒に生活をし始めて、季節のお花を見に行くのが習慣になったと語ってくださいました。
「私は眩しい光が苦手なんですが、一人で目を凝らして歩いたり生活していた時期は眼精疲労やそれによる頭痛で、時には寝込むことがあったんです。でもマーニーと歩くようになってから、とてもリラックスして歩けるようになりました。
私たちは今年の2月から生活を共にているのですが、2月には梅の花を見に行きました。梅の花の香りを感じることができ本当に嬉しく思いました。それから春は上野の桜を見に行きました。そのあとは藤を見に旅行にでかけ、菖蒲、紫陽花、ひまわりまでたくさんお花を見に行くことが出来ました。これからは予定ですが、間に合えば彼岸花を。それから紅葉を見に行って、冬には牡丹を見に行きたいです。そしてまた梅の季節がやってくのを楽しみに思っています。これからもたくさん歩いていきたいと思いますし、この子を育てていただいたパピーウォーカーの方には本当に感謝しております。ご支援いただいている方々にも感謝しています」。

圓藤明彦さん/ウィスパー(埼玉県久喜市)

訪問マッサージをしている圓藤さんは、ウィスパーの社交性についてお話しされました。
「ウィスパーと初めて出会ったのが今年の1月18日でした。初めは不安もあったんですが、出会ってすぐウィスパーは全身で喜びを表してこっちへ向かって来てくれるのでとても安心して訓練に入ったのを覚えています。
私は普段、訪問マッサージの仕事をしていまして、ウィスパーも一緒に現場へ同行するのですが、訪問先の利用者さんからはウィスパーを連れていくことを歓迎してくださってとても感謝してます。ほかにも猫を飼っているお家へお邪魔したときは、最初ウィスパーも猫に飛びかかりそうな勢いだったんですけど、次にお邪魔した時には猫と仲良くなって二人で添い寝するまでになっていました。出会った時から感じていましたが、ウィスパーはとても社交的でよかったなと思っています。今年の夏は暑い日が続いていて、いろんなところへ連れて行ってあげられなかったんですけど、これから涼しくなったら出かけられたらいいなと思っています。これから助け合いながら、2人3脚で生活できたらいいなと思っています」。

荒川明宏さん/グミ(東京都練馬区)

最初に挨拶された荒川香織さんの旦那さんであり、会社を経営する荒俣明宏さんは、地方出張などにもグミと一緒に出かけているようです。
「グミは訓練をし始めた当初、家から駅まで5分でたどり着ける道を45分もかかったりしていて“大丈夫かな”と思ったこともありました。なぜかというと“会社なんか行かないで、家で遊ぼうよ”とグミが家の方へ戻ろうとしてしまうんです(笑)。そんなこともありましたが、今では私と2人で神戸や鹿児島へ出張するまでになりました。
その他にも、盲導犬や犬の力は不思議なだと思うことが多々あります。日々、犬のお世話をすることで私自身がリフレッシュされたり、朝から頭の体操になったりとても楽しい日々を送っています。グミと一緒に私の見ている夢へこれからも邁進したいと思います」。

野上由美子さん/ミーナ(東京都江戸川区)

弱視の野上さんは、観察力と判断力を持つミーナに助けられながら生活し始めて半年が経つと言います。
「私は目が少し見えるんですけど、ミーナには普段から助けられています。例えばいつも行きつけのスーパーで、私が見る限り障害物がない場所を進もうとした時、ミーナが立ち止まるんです。しばらく動かないから困っていたら、遠くから自転車が動きだす音がしました。私より先に、止まっているものでも動きだす可能性を察知して、行動してくれたととても感動しました。またあるときは、昨日まで普通に歩けた道でミーナが立ち止まるので様子を見ていたら、道の左側だけ工事現場になっていたんです。ミーナがあまりに観察力が高く、私自身が自信をなくしてしまうこともあるくらい(笑)。そのあともマンションの廊下にいるセミを避けて進んでくれたり、動かないものもでもちゃんと避けてくれるんですまだまだいろんな課題はありますけど毎日楽しく過ごしています」。

飯島香利さん/ワラク(千葉県我孫子市)

千葉県の我孫子市で盲導犬第一号として広報誌に取材されたことがある飯島さんは、ワラクと生活するようになって、身のまわりで嬉しいことが起こったそうです。
「私は最近、我孫子市の広報誌に市内で盲導犬第一号のユーザーとして取材されたんですが、それをきっかけにとても嬉しいことがありました。その誌面を見た同じ市内に住む高校時代の友達が連絡をしてきてくれたんです。ずっと音信不通だった友達が、わざわざ市役所に問い合わせてくれたようで、そんなめぐり合わせがとても嬉しく思います。
また私は中途で視覚障害になり、それまでしていた仕事ができなくなり、外出も一人ではできなくなってしまい、自分の世界がとても狭くなってしまったと感じていました。でも盲導犬との歩行を考えてから、盲導犬協会の職員さんをはじめ今までは知り合えなかったような方々との繋がりもいっぱい広がってきました。これからもワラクと一緒に自分の世界や人とのつながりを広げていきたいと思っています」。

吉山幸美さん/スミレ(神奈川県川崎市)

視界に斜線が入ったり、足元が見えなかったり、光が点滅するように感じたりと特殊な視覚障害を持つ吉山さんは、お仕事をしながらスミレとのこれからの生活に夢を膨らませています。
「私は少し目が見えるんですが、人ごみや暗いところ、特に階段が苦手でした。でもスミレと歩くようになってから、階段でも手すりを使わずに歩くことができるようになって嬉しく思っています。また昨年の4月からヘルスキーパーとして、都内の会社の事業所に勤めているんですが、これまでは駅から自宅までをバスを使っていました。でもスミレと一緒に生活をし始めた今年の4月からは、バスを使わず行き帰りを歩くようにしたことで少し健康になった気がしています(笑)。
普段から、会社へスミレを連れて行くとまわりの方々もとても優しく接してくれたり、配慮してくれたりと嬉しく思います。またいつも同じ時刻に同じ電車になる女性がいたんですが、その方が犬好きということで話が盛り上がったりしました。その女性は見ず知らずの人でしたし、それまでの自分には考えられない状況でしたが、犬を持つということはときに、こうしてつながりができるということなんだと驚いています。まだまだスミレとこれから何年も歩くことになると思いますが、近いうちにスミレと一緒に旅行へ出かけたいと思っています。やっと半年、まだ半年と心に留めながら、これからもスミレと歩いていきたいと思います」。

半年から1年にわたる日々の生活を、パートナーである盲導犬たちへの愛情たっぷりに笑い話を交えて語っていただいた盲導犬ユーザーさんたち。会場は暖かい空気が漂っていました。

映画『クイール』のモデルになった盲導犬の育ての親
多和田悟さんの激励の言葉

盲導犬訓練士としてさまざまなメディアで活躍しながら、世界各国の盲導犬施設を査察するなど、日本のみならず海外でも活動している多和田さんより、激励の言葉が送られました。
「激励の言葉といわれると、僕がみなさまを激励する言葉は持ち合わせておりません。みなさまから今日、ここでいただいたお言葉が我々への激励なっています。先ほど挨拶された7名の方々はまだいろんな戸惑いがあるかと思います。それでも、みなさんが盲導犬を持つと決心をされた、そのことに敬意を表したいと思います。
先日、あるシンポジウムで“これから科学が発達して、盲導犬がいらない時代が来るのではないか”と聞かれました。僕はそう聞かれた場合、犬の利便性ではなく盲導犬の価値を説明する以外にないと思っています。盲導犬は失敗をします、人間も失敗をします。でもそれで犬と人が一緒に失敗をしてしまってはいけません。犬の失敗を人がカバーし、人の失敗を犬がカバーしなければなりません。二つの生き物が歩くという共同作業を成立させるわけです。それを自分の人生として責任を持ち背負っていく決断をされた一つの証が盲導犬であること、こんな嬉しいことはありません。
我々、日本盲導犬協会はこれからも責任を持って、犬の人生を預かっています。犬を含め、目の見えない人、見えにくい人が行きたい時に行きたい場所へ行けるように我々は安全で快適で、自由な方法を提供します。
また今日、ここにいる職員を誇りに思うと同時に、支援者の方々には我々の可能性と使命をご理解いただき、これからも温かく支えてくださることを感謝します。本日はおめでとうございます、そしてありがとうございます」。

盲導犬がもたらす視覚障害を持つ人々の生活への影響や前向きな話の数々。普段は会うことの少ない盲導犬ユーザーと話をすることで、改めて盲導犬の社会にとっての役割について見つめ直す機会となった「盲導犬新ユニット出発式」。
会場には、理事長・井上幸彦氏、前述の7組のほか、2頭目、3頭目と代替えで新たに誕生した12組の新ユニットの計19組に加え、ご来賓の方々と日本盲導犬協会への支援団体・役職員など、約120人が記念すべき門出を祝いました。
いつもは神奈川訓練センターで盲導犬と共に生活する人々にフィーチャーしてきましたが、今回は日本盲導犬協会が社会へ向けて、自分たちの活動を発信する場に立ち会うことができたユカヌバタイムス。ユカヌバタイムでは、これからも視覚障害者の方と盲導犬を応援していきたいと思います。

Text : Wakako Matsukura

Photo : Masahiro Yamamoto

取材協力 : 公益財団法人 日本盲導犬協会

FOLLOW

@eukanubatimes

すべての犬に、
アクティブな毎日を。

Eukanuba™ Brand Site

Eukanuba

NEWS LETTER

最新記事やキャンペーンなどの
お得な情報をいち早くお届け!