ユカヌバタイムス

15

Jan

HEALTH

素朴な質問やふと浮かんだ疑問に原田さんがご名答
獣医師・原田洋志さんに聞いてみよう!
Q:うちの子に、犬のしつけ本を使ってのしつけは無理なんでしょうか?

すでにワンちゃんと一緒に生活している人はもちろん、これからワンちゃんをおうちへ迎えたいと考えている人、またワンちゃんと接点はないけど「そういえばあれって、どうなんだろう?」なんて、普段から湧いてくる疑問の数々。
でも誰に、どう聞けばいいかわからない質問について、ロイヤルカナンのサイエンティフィックコミュニケーションマネージャーであり獣医師としてのキャリアを持つ原田洋志さんがお答えします!
今回は、ワンちゃんと暮らすにあたり必要不可欠な「しつけ」についてのお話です。

サイエンティフィックコミュニケーションマネージャー/獣医師
原田洋志さん

Question

市販されているしつけ本でうまくしつけができません。
うちの子にしつけは無理なんでしょうか?(東京都在住:40歳男性)

(相談者のコメント)現在、4歳になるミニチュアダックスフントを飼っているんですが、だいぶ態度が横暴になってきました。お腹が空いたら食べ物をねだって騒ぎ、「お座り」や「待て」も出来ず、「来い」と言っても無視する始末で困っています。小さい時からしつけすべきだったんですが、子犬の頃は可愛くてつい甘やかしてしまいました……。
最近になって、しつけ本を見ながらしつけを始めたんですが、いまいち出来ているとは言えません。うちの子に、このタイミングでのしつけはもう無理なのでしょうか?

―ワンちゃんのしつけ問題は深刻ですよね。
4歳となると、オーナーの方がこれから「しつけるの難しいのかも」と思ってしまうのも無理はないと思いますが、どうでしょうか?

しつけ自体はワンちゃんの年齢に関係なく、いくつからでも可能です。ただワンちゃんも歳を重ねるにつれ、それまでについたクセや自分なりの習慣があったりするのでそれを取り除いて修正するのに時間がかかります。でもしつけをすることはできますよ。

―ではなぜ、本を見ながらのしつけがうまくいかないとこの方は困っているのでしょうか?

例えば「お座り」をさせるときは、少量のおやつを目の前に置いて顔の上まで持っていきます。そしてそれを頭の上まで持ってくるとワンちゃんは物理的に重心が後ろに移動してペタンと尻もちをつくんですね。その流れを「お座り」って言いながら行動と紐付けてワンちゃんに覚えさせる手順があるんですが、ワンちゃんによっては尻もちをつかない場合もありますよね。そのままくるくる回ってしまったり、ノーリアクションだったりするかもしれない。
でもしつけ本にはさまざまなワンちゃんに起こる失敗例を全部書いて、それに対する対処法をいちいち載せていたらスペースがいくらあっても足りません。そうすると、しつけ本に載っていないリアクションをされたときに、オーナーさんがどうしていいかわからなくなってしまう気持ちは分かります。

―確かに「うちの子は本にない行動に出たけど、大丈夫か?」ってなってしまいますね。ちなみに、おうちで習得させておくべきしつけとはどのくらいのレベルなんでしょうか?

しつけの基本でいうと、オーナーさんがワンちゃんの名前を呼んだときにワンちゃんが動きを止めてアイコンタクトをしてくるところからですね。名前を呼ばれたら何をしていても行動を止めて、ちゃんとオーナーさんを見ること。そして「来い」とか「おいで」というと号令でオーナーさんのところへ来ることですね。そうすることで突然、リードが外れてしまったときでも道端に飛び出して事故にあったりするという危険を回避することができます。
あとは病院へ連れて行った際、診察台に上で静かに座っていられるように「お座り」と「待て」も出来るようにしておきましょう。

―しつけ本で試してダメだった場合、その次のステップはなんでしょうか?

まずは気長にワンちゃんと向き合って、根気強くしつけしてみることですが、それでもダメだったら次はしつけ教室ですね。やっぱり、プロの訓練士の方にしつけの方法を学ぶのが一番いいです。プロの方々はたくさんの犬を見てきてますし、経験値も違います。ワンちゃんがちょっとやそっと違う行動をとったとしてもちゃんと軌道修正してくれますから。
ただしつけ教室にもさまざまなスタイルがあるので、どこを選ぶかはオーナーさん次第です。気をつけるべきは、オーナーさん自身がしつけの方法を学べる場所であるということ。訓練士さんの言うことは聞くし、教室ではお利口けど、お家に帰ったら誰の言うことも聞かないというワンちゃんもいるんですが、それは訓練士さんの言うことしか聞かなくなってしまっている状態なのであまり意味がありません。オーナーさん自身が、ワンちゃんへのしつけの方法を学ぶことが大前提です。

―なるほど、ワンちゃんをしつけてもらうのではなく、オーナーさん自身がしつけを学ぶんですね。

はい。あと家族でしつけをするときに気をつけて欲しいのは号令で使う言葉ですね。ワンちゃんたちは言葉の意味を理解して行動しているわけではありません。「お座り」という音と自分が過去に褒められた行動を思い出して、動いているんです。立った状態から「お座り」と言われて腰を下ろしたら褒められた。そうやって「お座り」を体得したのに別の人から「座れ!」「sit-down!」など、別の言葉で号令を出されるとどの指示かわからず反応できません。だから家族のなかで座る号令は「お座り」、待たせる時は「待て」など、ワンちゃんへの号令の言葉は統一するようにしてください。盲導犬協会などでも訓練士さんとユーザーさんとの間で「ゴー」「ストレイト」「グッド」など、言葉を統一しているのは盲導犬が混乱しないようにという理由があると思います。

―確かに、つい名前を呼んでこっちを見たり、走り寄ってきたりすると「自分の名前を理解してる、すごい!」って思いがちですけど、それは人間の感覚ですよね。ワンちゃんはあくまでただの音としてしか聞いていないことを人間も頭に入れておくべきですね。

そうなんです、しつけがうまくいかないときにはワンちゃんの立場になって考えてみるとわかることもたくさんあると思います。しつけに関してはどうか、結果を急がず根気強く向き合って欲しいと思います。

―家族だと思うあまり、自分と同じに考える人も少なくないと思いますが、あくまで人間と犬は違うということを大前提に向き合うべきですね。今回もありがとうございました!

text : Wakako Matsukura

illustration : Masato Hirano

special thanks : Hiroshi Harada

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